熱性けいれんって?対処法・予防法〜正しく慌てずに対応するために
「熱性けいれん」ってどんなものでしょうか?
熱性けいれんを起こすと、白目をむいて全身がこわばり、突っ張らせて、意識を失ったり、泡を吹いたり・・・そんな姿を見て、慌てずに落ち着いて対応することができるでしょうか?
保育現場でお預かりしている子の中で、熱性けいれんを起こしたとこがある子は、だいたい各クラスに数名はいます。熱の上がりはじめに突然起こるけいれんに、少しでも冷静に対応できるようにしておきたいですね。
なので今回は、熱性けいれんの際にどう対応すれば良いのかなど、まとめてみました。
熱性けいれんはなぜ起きるの?
脳の発達がまだ未熟で刺激に弱いため起こるのではないかといわれていますが、原因はまだはっきりしていません。
そのため脳の発達がまだ未熟な、生後6ヶ月から5歳頃までの乳幼児に発熱に起こる発熱(38度以上)に伴うけいれん発作のことを、「熱性けいれん」といいます。主に、熱の上がり際に起こることが多いのが特徴です。
また、熱性けいれんは遺伝も関係があり、親や兄弟に起きたことがあれば、子どもも起こす可能性が高くなります。ただし、遺伝がなくても起こる可能性もあり、およそ10人に1人に起こるといわれています。(およそ10%)
また、熱性けいれんを経験した子の30%程度が、その後にけいれんを繰り返すと言われています。
熱性けいれんの症状は?
- 意識を失う
- 全身がつっぱる
- 手足をガクガクと動かす(ばたつかせる)
- 白目をむいたり、目が上下左右どこかに寄ったまま動かない
- 泡をふく
- 歯をくいしばる・顎がガクガクなる
- 脱力する
また、皮膚や唇、爪などが青紫色になることがあります。これは血液中の酸素濃度が低下したことで起こる「チアノーゼ」と呼ばれる症状です。
熱性けいれんの種類
<単純型熱性けいれん>
- 38℃以上の高熱時で、熱が出始めてから24時間以内に起こるけいれん
- 左右対称性
- 数分間で自然に治まる(5分以内)
- 意識障害や麻痺が残っていない
- 24時間以内い2回以上けいれんが起きていない 等
<複合型熱性けいれん>
- 単純型にあてはまらないもの
熱性けいれんが起きた時の対処法・ポイント
- 平らな場所で横向きに寝かせる(★けいれんで嘔吐することもあるので、嘔吐物を喉に詰まらせない為に)
- けいれん時間を計る(始まった時間と終わった時間、長さ)
- けいれんの状態をよく見る(左右対称か、全身か一部なのか等)
★舌を噛まないように、口にタオルを入れたりすると呼吸の妨げになったり、嘔吐物を喉に詰まらせたりすることがあるため、窒息の原因になってしまうので、絶対にしないようにしましょう。また、子どもの口に手を入れたり、無理に口を開けようとするのも危険なのでやめましょう。
救急車は呼ぶべき?病院受診は?
基本的に熱性けいれんの場合、けいれんは5分以内には自然に治ります。5分以上けいれんが続く場合は、すぐに救急車を呼びましょう。
また、「初めてのけいれん」「1歳未満のけいれん」「発熱を伴わない痙攣」「左右非対称のけいれん」の際は病院を受診しましょう。熱性けいれん以外の病気が隠れていることが多いです。
熱性けいれんって予防できる?
熱性けいれんを繰り返し起こす可能性のある子は、けいれん予防目的で、熱がある出た際に使う、「ダイアップ」という座薬を処方されることがあります。ダイアップ座薬の成分はジアゼパムという睡眠薬の一種で、粉薬もありますが保管や使用する際の便利さから、座薬を用いられることが一般的です。
ダイアップを上手く使用することで、発生率を70%以上減らせるとされていますが、使っていても熱性けいれんが起こる可能性はあります。効果が現れるまで15分以上かかるので、今起きているけいれんを止める効果はありません。あくまでも予防のために使用されます。
また、この座薬の大きさが3種類あり、使用量は体重によって決められているので、体重が増えた際には、座薬の大きさを変える必要があるので、気をつけましょう。
また、使い方は、1回目は37.5℃を超える発熱に気付いた時点で使用します。(熱性けいれんは発熱直後〜24時間以内に起こることが多いので、予防には1回目を早めに使用することが大切です。風邪気味の際は、こまめに検温するようにしましょう。)
2回目は、1回目の8時間後に使用します。(8時間後に解熱していても、原則的には2回目を使用してください。)
どういった場合にダイアップが処方されるの?
- 過去に2回以上熱性けいれんを起こしたことがある。
- 過去に15分以上長引く熱性けいれんを起こしたことがある。
- その他複数の理由がある場合。(家族の希望や生まれつきの病気がある場合など)
予防接種は?
熱性けいれんを起こしたことのあるこ子は、予防接種後の発熱で熱性けいれん起こす可能性があるため、熱性けいれんを発症した後、1年間は予防接種ができないという規則があったのですが、現在は「予防接種の副反応による発熱による熱性けいれんを起こすリスクよりも、予防接種で予防できるはずの感染症の熱で熱性けいれんを起こす方がリスクが高い。」という考えにより、規則が変わりました。
園で起きたら?ポイント
園で起きた際も、基本的には上記と同じ手順で行えば良いです。しかし、集団の中で起こった際は、周囲の子も対応や、応援を呼んだり、少し対応が変わる部分もあるので、ここでもまとめておきます。
また、この順番を守らなければいけないというわけではなく、同時進行で行うようなイメージなので、子どもの安全を最優先に、順序は臨機応変に変えて対応してください。
- 時刻の確認。(けいれんが止まった時刻も確認忘れずに!)
- 安全確保・応援を呼ぶ・記録(可能であれば、広い場所に横向きに寝かせると良い。また、応援を出来るだけ呼び、周囲の子をみたり、発作の観察を行なってもらいましょう。)
- 気道確保も同時に行いましょう。(衣類を緩めたり、起動確保のため、頭を少し後ろに逸らして横向きに寝かせると良いです。)
- 周囲のこの安全確保を行う。(これは集団ならではの必要な対応になるかと思います。)
- 救急隊への通報。(5分以上続いた場合は)
- けいれんが止まって救急隊を呼ぶ必要がない場合でも、回復するまでは必ず観察しましょう。回復後にいつもと変わらない様子であれば、早急に医療機関を受診する必要はありませんが、初めてのけいれんの際は、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
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